茨城・那珂湊No.409★★地図で見る →
あんこう鍋
那珂湊の漁港に隣り合う市場。茨城の冬の魚あんこうが、鍋になる前の姿のまま並ぶ。鮮魚店と加工品店と食事処が岸沿いに集まり、駅から歩いて下りていける距離にある。

常磐沖で獲れるあんこうは「常磐もの」として市場で高く評価され、茨城では「東のあんこう、西のふぐ」と並べて語られてきた。皮、身、卵巣、胃、えら、ひれ、肝——これを「あんこうの七つ道具」と呼び、捨てるところがほとんどない。体がやわらかくてまな板の上では捌けないため、下あごから吊るし、口から水を流し込んで安定させてから包丁を入れる。那珂湊おさかな市場があるのは湊本町、漁港のすぐ隣だ。鮮魚店と水産加工品店が岸沿いに並び、その背中側に地方卸売市場の敷地が広がっている。
なぜ穴場のままか
よく知られた市場で、冬の週末はにぎわう。ここが与えてくれるのは静けさではなく順番のほうだ。氷の上の丸のままの姿と七つ道具を先に見て、それから鍋に向かう。同じ一椀でも、その順で食べると意味が変わる。落ち着いて回りたいなら、漁期の平日の午前がいい。
歴史・背景
この土地であんこうが重んじられてきたのは江戸時代からで、水戸藩の贈答品として送られ、その肝は日本の大きな珍味のひとつに数えられた。漁師の元の形は「どぶ汁」だ。水を加えずに煮て、溶けた肝でスープが濁る。それを食べやすく仕立て直したのがあんこう鍋にあたる。農林水産省の「うちの郷土料理」は、ゆでた七つ道具を肝入りの酢味噌で食べる「共酢」も、茨城にしかない料理として記録している。
見どころ(歩く順)

- 那珂湊駅
- 1913年の開業からの木造駅舎。「関東の駅100選」にも選ばれている
- 那珂湊反射炉
- 幕末の大砲鋳造炉を復元したもの。駅から徒歩7分
- 那珂湊おさかな市場
- 鮮魚店と水産加工品店が岸沿いに軒を連ねる市場
- 那珂湊漁港
- 市場の目の前に広がる、いまも動いている漁港
おすすめの楽しみ方
農林水産省は、肝が肥える12月から2月がいちばんの食べごろだとしている。まず鮮魚店の氷の上を見て回って、丸のままのあんこうを探すといい。七つ道具が並んでいる姿を見てから席につくと、椀の中身の読み方が変わる。毎月第一日曜には那珂湊駅のホームでも朝市が立ち、9時から11時ごろまで野菜や干物が並ぶ。
実際の行き方
- 勝田駅→那珂湊駅(ひたちなか海浜鉄道湊線・約15分、350円)。
- 那珂湊駅→那珂湊おさかな市場(港へ向かって徒歩約10分)。
- 鮮魚店の氷の上で丸のままのあんこうを探し、市場まわりの食事処で鍋を頼む。
- 勝田駅からひたちなか海浜鉄道湊線
- 勝田はJR常磐線の特急停車駅。ここで湊線に乗り換え、那珂湊まで約15分、大人350円(鉄道会社の運賃表)。日中はおおむね1時間に1〜2本走っている。
- 那珂湊駅から戻る
- 帰りも湊線で勝田へ戻り、JRに乗り継ぐ。夜まで運行はあるが本数は減るので、長い昼食に落ち着く前にホームの時刻表を見ておきたい。
行く前に
- 現金
- 市場を歩くだけなら料金はかからない。那珂湊駅の窓口はクレジットカードやPayPayなどのキャッシュレス決済に対応しているが、市場の各店は支払い方法が店ごとに違うので、現金も持っておく。
- 定休
- あんこうは冬の魚で、漁期は11月から3月。それ以外の季節は鍋そのものが出ない。市場の各店の営業時間と定休日も店ごとに異なる。
- 別ルート
- 車なら「ひたちなかIC」から約10分、市場までおよそ4.5km。隣接する地方卸売市場の敷地が臨時駐車場として開放される。那珂湊駅の近くにも、湊線利用者向けのパーク&ライド駐車場が約40台分ある。
- 降りたあと
- 那珂湊駅から港の方向へゆるやかに下って徒歩10分ほど。湊本町の岸沿いが市場になる。