熊本・下通No.425★★地図で見る →
からし蓮根
蓮根の穴に辛子味噌を詰めて揚げたからし蓮根は、熊本の外ではほとんど作られない。城下のアーケードに立つ県の物産館なら、複数の作り手のものが同じ棚に並ぶ。

からし蓮根は、蓮根の穴という穴に和辛子を混ぜた味噌を詰め、卵黄の入った黄色い衣をまとわせて揚げたものだ。輪切りにすると、詰まった穴が模様になって現れる。歯を入れるとまずシャキッとして、次に辛味が舌ではなく鼻へ抜けていく。これは熊本だけのものだ。製法が藩の秘伝だったため、いまも県外ではほとんど作られていない。城下のアーケードに立つ熊本県物産館は、1400種を超える県産品と一緒にこれを扱っていて、作り手を横に並べて選べる数少ない売場になっている。
なぜ穴場のままか
土産物売場の定番であって、隠れた発見ではない。難しいのは選び方のほうだ。老舗と呼ばれる作り手が何軒もあり、味噌に入れる辛子の量がそれぞれ違う。駅の棚に並ぶ真空パックを見ても、その違いは何も分からない。県の物産館は、それらが隣り合って置かれている珍しい場所だ。
歴史・背景
起こりは寛永9年、1632年とされる。熊本藩初代藩主の細川忠利が病がちだったころ、羅漢寺の僧・玄宅が滋養になるとして蓮根をすすめた。泥の中で育つものだと忠利が渋ったため、台所が穴に辛子味噌を詰め、衣をつけて揚げて出したところ、これを気に入って常食するようになったという。輪切りの断面が細川家の九曜紋に似ていたこともあり、製法は明治維新まで門外不出とされた。誰もが作れる熊本の食になったのは、それから後のことだ。
見どころ(歩く順)

- サンロード新市街
- 電停から東へ延びる屋根付きの商店街。辛島町側からの入口にあたる
- 下通アーケード
- 熊本の中心を貫く商店街。天候に関係なく歩ける幅の広い屋根付きの通り
- 熊本県物産館
- 県の物産の売場。からし蓮根は複数の作り手のものが丸のまま並び、5〜10mm厚に切って食べる
- 上通アーケード
- 通町筋の市電通りを挟んで北側にある、少し落ち着いた商店街
- 熊本城
- アーケードの北端から北西へ、平坦な道を歩いた先にある石垣と天守
おすすめの楽しみ方
買うのは早朝より、その日の終わりのほうがいい。揚げ物なので、食べるまでの時間が短いほど姿がいい。最初の一切れは醤油をつけず、そのままで。切り口が新しいうちが辛味のいちばん立つときで、時間とともに角が取れていく。アーケードは端から端まで屋根があるので、雨の日の行き先としても効く。
実際の行き方
- 熊本駅→辛島町電停(熊本市電・15分ほど)。
- 辛島町→サンロード新市街を東へ、下通へ北に折れる(徒歩約5分・全区間屋根あり)。
- 熊本県物産館で作り手を見比べてから買う。違いは辛子の効き方に出る。
- 通町筋を渡って上通へ進むか、西へ折れて熊本城へ。
- 熊本市電で辛島町へ
- 熊本駅前電停→(熊本市電・15分ほど)→辛島町電停、そこからアーケードへ入って徒歩約5分。市電は市街を貫く一本の路線なので、乗り継ぎを考える必要はない。
- 辛島町か花畑町から戻る
- どちらの電停もアーケードの南端にあり、熊本駅方面へ戻れる。市電は夜まで動くが、物産館は夕方には閉まるので、時間を決めるのは電車ではなく買い物のほうだ。
行く前に
- 現金
- アーケードも物産館も入るだけなら無料で、払うのは買った分だけ。近隣の提携駐車場は、一定額以上の買い物で無料時間が付く。街なかの店なのでカードは通るが、アーケードの小さな売店では現金のみのこともある。
- 定休
- 確認時点では、物産館は午前の遅い時間から夕方までの営業で、年末年始は休み。近年になって下通のアーケード界隈へ移転しているため、古い案内板や紙のガイドには桜町側の旧住所が残っていることがある。
- 別ルート
- 熊本城からは、花畑あたりを抜けて南東へ歩けば平坦な道でアーケードに入る。熊本駅からの路線バスや空港リムジンは桜町バスターミナルに着き、そこからアーケードまでは西へ数分。
- 降りたあと
- 辛島町電停からサンロード新市街のアーケードに入り、東へ進んでから下通へ北に折れる。物産館まで徒歩約5分、全区間が屋根の下だ。