山梨東・勝沼No.430★★地図で見る →
甲州ワイン
〜日本のワイン発祥の地〜
日本のぶどうを、一社ではなく市営のカーヴで味わう。甲州市勝沼のぶどうの丘は甲府盆地の東の縁、ぶどう畑に覆われた丘の上に立つ。中央本線の駅からは、そこそこの上り坂だ。

甲州は、この盆地で長く育てられてきた薄紫のぶどうで、辛口で軽い白になる。ただ、勝沼が特別なのはぶどうそのものより密度のほうだ。甲府盆地の東の縁はひと続きの棚のぶどう畑で、そこに小さな造り手がいくつも並ぶ。行き当たりばったりで歩き出すと、何日あっても終わらない。その答えが、丘の上のぶどうの丘である。運営は市で、特定の醸造元のものではない。だから地下のカーヴには一社の顔ではなく産地の顔が並ぶ。どこへ歩くかを決める前にまとめて味を確かめられる場所は、たぶんここしかない。
なぜ穴場のままか
日本でいちばん名の通ったワイン産地であり、丘は案内標識の立った市の施設だ。隠れた場所ではない。効いてくるのは中立であることのほうで、ここでは誰も自社の物語を売ってこない。午前のうちに上ってしまえば、坂もカーヴも盆地の眺めも、午後よりずっと楽になる。
歴史・背景
ぶどうは古い。古すぎて、伝来のいきさつは伝説として語られている。旅の僧が見つけたという話もあれば、村人が山際で見慣れぬ蔓を拾ったという話もある。ワインのほうは明治の物語で、こちらには日付がある。1877年、いまの勝沼にあたる祝村・下岩崎に、日本で最初の民間ワイン醸造会社が生まれた。会社は若者をフランスへ送り、醸造の技を持ち帰らせている。そして産業はこの斜面から動かなかった。同じ傾斜に同じ畑が続き、小さな造り手がその見える範囲で瓶に詰めている。市がこの丘を開いたのは、その広がりを半日で味わえるようにするためだ。
見どころ(歩く順)

- 駅から続くぶどう畑
- 勝沼ぶどう郷駅からの上り坂を覆う、棚づくりのぶどう畑
- 地下ワインカーヴ
- 市の審査会を通った銘柄が並ぶ、市営の地下貯蔵庫
- 展望テラス
- ぶどう畑の縁から甲府盆地を西へ見渡す屋外のデッキ
- ぶどうの丘温泉 天空の湯
- 盆地の眺めをそのまま湯船から見る、丘の温泉
おすすめの楽しみ方
試飲は入口で器を買う仕組みだ。それを持って地下へ降り、好きな瓶を自分で注ぐ。営業しているあいだは何度でも出入りできる。順番はカーヴが先、湯が最後がいい。今日いちばんきついのは駅からの坂で、それを二度歩きたくはないからだ。季節を選ぶなら秋。眼下の斜面が実の重みで垂れる頃だ。
実際の行き方
- 新宿駅→勝沼ぶどう郷駅(JR中央本線・特急を使って約1時間30分)。
- 勝沼ぶどう郷駅→ぶどうの丘(西へぶどう畑の坂を徒歩15〜20分、または市民バス)。
- 入口で試飲用の器を買い、地下のカーヴへ降りる。
- 地上に戻って展望テラス、下る前に天空の湯。
- JR中央本線・新宿から
- 新宿駅→(JR中央本線・特急あずさかかいじと普通列車を乗り継いで約1時間30分)→勝沼ぶどう郷駅。特急は一部の列車しか停まらず、停車は緑の季節に寄っている。乗る前に、その列車が停まるかを確かめておきたい。
- 勝沼ぶどう郷駅から戻る
- 坂を下って駅へ戻り、中央本線で新宿方面へ。夕方以降はこの区間の本数が減る。下りにも時間がかかるので、飲み始める前に帰りの列車を決めておくほうがいい。
行く前に
- 現金
- 丘を歩くだけなら無料。カーヴの試飲は入口で器を買う必要があり、温泉は別料金になる。駅には券売機があり、構内には市の観光案内所も入っている。
- 定休
- 丘の施設はどれも日中の営業で、1月の末に休みが入る。駅からの道はずっと上りで、車も通る。真夏の盆地は暑く、ぶどうの季節に入ると日が落ちてから冷える。
- 別ルート
- 駅前からは市の市民バスが丘まで上る。タクシーも待っている。車なら中央自動車道の勝沼インターチェンジから約10分。
- 降りたあと
- 勝沼ぶどう郷駅からは、西の高みに丘が見える。ぶどう畑のあいだの道を上って15〜20分。距離より勾配のほうが時間を食う。