岩手・盛岡南No.438★★★地図で見る →

南部鉄器

〜盛岡と奥州の鋳鉄工芸〜

craft王道を、いちばんいい形で

盛岡で鉄が鋳られてきたのは、藩が京都から釜師を招いた時代からだ。市の南に構える岩鋳の鉄器館では、鋳込みと着色の現場を無料の見学路がひと続きに抜け、仕上がった鉄瓶の並ぶ棚で終わる。

南部鉄器
実写(ライセンス済み)Misakubo / CC BY-SA 3.0

南部鉄器は岩手でつくられる鋳物のことで、代表格は火にかけて湯を沸かす鉄瓶だ。表面にはしばしば霰(あられ)と呼ばれる細かい粒が一面に浮き、装飾というより肌合いとして目に入る。この文様は、この土地の鋳物が茶の湯の釜から始まったことの名残でもある。盛岡の岩鋳は、工場と見学用の鉄器館を同じ敷地に構えている。溶けた鉄を流す現場と、仕上がった器の並ぶ棚が、数歩の距離にあるということだ。見学路は型づくりと鋳込みを通り、漆で色を入れる工程を経て、ギャラリーと売店で終わる。

歴史・背景

南部鉄器の名は、盛岡を治めた南部氏に由来する。17世紀初め、藩が京都から茶釜の職人を招いたことで城下に鋳物の生業が根づいた。鉄瓶が生まれるのはその後、18世紀のこと。茶釜を小ぶりに仕立て直して、日常の道具にしたものだ。もう一つ、より古い流れが南の水沢——現在の奥州市——にある。国の伝統的工芸品に指定されたのは1975年2月17日で、この指定は盛岡と奥州の両方を含んでいる。

見どころ(歩く順)

型づくりと鋳込みの現場
砂の型に溶けた鉄を流す工程を、稼働中の工場の見学通路から見る
漆による着色工程
鉄の肌に漆で色を入れる段階。仕上がりの表情がここで決まる
展示ギャラリー
鉄瓶から鍋敷き、鍋まで並ぶ、県内でも指折りの南部鉄器の展示
鉄器館の売店
つくられた現場のすぐ隣で売られる鉄瓶・急須・鍋敷き・燭台

おすすめの楽しみ方

鉄器館は10時から17時まで、火曜が休み。一日を充てるというより、盛岡での食事の前後に挟むくらいの尺がちょうどいい。順番としては、まず霰文様の鉄瓶を眺め、それから鋳込みの現場へ回ってみてほしい。型の壁がどれほど薄いかを見たあとだと、あの粒の細かさの意味が変わって見える。入場は無料なので、何も買わずに出ても惜しくはない。

実際の行き方

起点
盛岡駅
所要
約25分 · 岩手県交通バス・約20分
降車
川久保バス停(岩手県交通)
  1. 盛岡駅→川久保(岩手県交通・矢巾方面行きバスで約20分)。
  2. 川久保バス停→岩鋳鉄器館(西へ徒歩約5分)。
  3. 見学路をたどり、型づくりと鋳込み、続いて漆の着色工程を見る。
  4. ギャラリーと売店で締めて、川久保からバスで盛岡駅へ戻る。
盛岡駅から岩手県交通バス
盛岡駅→(岩手県交通・矢巾方面行きで約20分)→川久保バス停。そこから西へ徒歩約5分で鉄器館に着く。車なら東北自動車道・盛岡南ICから約8分で、敷地内に大きな駐車場がある。
川久保から戻る
川久保バス停から同じ路線で盛岡駅へ。館は夕方前に閉まるので、終バスではなく閉館時刻を基準に帰りを組みたい。入館する前に停留所の時刻表を見ておくと迷いがない。
現在地からの経路を開く(Google マップ)↗

行く前に

現金
入館は無料。売店では仕上がった鉄器が買えるが、鉄瓶は手荷物にするには重い。持ち帰るか送るかは、決める前に相談しておくとよい。
定休
休みは火曜と、12月末から1月1日まで。火曜が祝日にあたる日は、年末年始を除いて開いている。見学路は展示用のセットではなく稼働中の鋳造現場を通るので、順路から外れず、係の指示に従うこと。
別ルート
岩鋳は市街の西、繋温泉の近くにある盛岡手づくり村にも工房を置いている。ここでは鉄瓶づくりの様子を、岩手の他の工芸と並べて一か所で見られる。
降りたあと
国道沿いの川久保バス停から西へ徒歩約5分。広い駐車場の奥に建つ低い建物が鉄器館で、その背後に工場が続く。

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